小説モドキが以下略です
またふたご。どころか続きというか、続編というか、ただ、つながっているというか。
今度はエクファ、ブラレイ前提のシェイド→レイン小説です。
でもレインは活躍しません(死
ひいきじゃなくて、ネタの問題で・・・。
こんどはレインのものも書きたいなぁ・・・
↓
ふしぎ星のふたご姫Gyu!のエクファ、ブラレイ前提のシェイド→レイン小説
+イツワリオウジ+
学園の庭、と呼ばれるそこに、ファインは向かっていた。
好きな人に会いたいという、とても純粋な気持ちで。
休み時間、昼食を早めに終えたファインは、窓越しにその人を見つけた。
「あ、」と、思わず声漏らしたファインに、一緒だったレインは、
「あら?シェイドじゃない!・・・まだ時間もあるし、行ってきたら?」
「で、でも・・・」
「ほらほらー!早くいかないと、休み時間終わっちゃうわよ!ね!」
と、半ば強引に後押しされて、彼のいるバラ園へと向かっていたのだ。
「・・・ファイン?」
静かに近づいていたはずのファインの足音も、なんてことなくシェイドに気づかれていた。
「シェイド、あの・・・となりに、いっても、邪魔じゃない・・・かな」
「あぁ、別にかまわない・・・」
シェイドには断わる理由もなく、断わりたいわけでもないので、いつものように無意識で少しぶっきらぼうに言う。
が、
「ほんと!?やったあ!」
ファインは、言葉を受けるととてもうれしそうに笑った。
・・・この笑顔には、かなわなかった。
――イツワリオウジ――
「シェイドは、本当に優しいね」
「・・・そうか?」
シェイド自身は意識していなくとも、植物を丁寧に、優しい瞳で、包み込むように世話をする姿は、隣に座れば誰でも思うであろう感情だった。
そして、ファインは至極当然のようにソレを言葉にする。
「うん!だってね、瞳がすっごく、すっごく優しいんだもん!・・・シェイドなら絶対、お医者様になれるよ!!」
その言葉には、偽りがない。
心の底からのファインの笑顔とコトバに、思わずシェイドは微笑んだ。
「ありがとう」
そういうと、ファインは頬を赤くして、はにかんで。それからまた笑顔になった。
「どういたしましてっ!」
「―――・・・」
―シェイドは、ファインの笑顔に見入っていた。
どうして、この笑顔ではダメなんだろう。
そう、シェイドは思う。
ファインの笑顔は、その場にいる全員の悲しみが吹き飛んでしまうような、飛び切りの笑顔だった。
幸せそうなのが、よくわかる。
この笑顔を守ってやりたいと思わせる、ほどの。
(なのに。)
「シェイド?・・・どうしたの?」
言われてはっとする。
ファインが、シェイドの顔を心配そうに覗き込んでいた。
「あ、あぁ、何でもない・・・」
―なんでもないことなど、ない。が、誰も言えないことだった。
特に、ファインには。
「ほんとう?ほんとうに、だいじょうぶ?・・・顔色が、少し・・・よく、ないよ・・・」
不安そうに眉を下げるファインにシェイドは目を奪われた。
「大丈夫だ、気にするな。」
そ、っとファインの頬に触れた、
―心配してくれてありがとう、という意味も載せられている、優しくて、あたたかい、ファインの手よりずっと大きい、てのひら。
「・・・うん」
ファインは顔の赤らみが増したが、顔は自然とやわらいでいった。
「・・・ねぇ、シェイド」
「・・・なんだ?」
するり、と話そうとするシェイドのてのひらを、ファインはぎゅっと握った。
「・・・わたしのこと、すき?」
「!」
照れた風もなく、極自然に聞いてくるファインに、シェイドは一瞬戸惑った。
そのコトバは、恐らく“恋愛感情”だけを聞いてくるものだけではなかった。
――だが、“友情”だけでも、ない。
本人はきっと自覚していないのだろう。
何か本能的に、といっても過言ではないものが、ファインの口を動かしていた。
「―――あぁ、・・・・・・すきだよ」
シェイドはもう一度ファインの頬に手をやり、言った。
ファインは、うれしそうに微笑んだ。
(こんなこと許されるのだろうか?)
もちろん、シェイドはファインが嫌いなわけではない。
むしろ、好きだった。
(なのに・・・)
なのに、許しがほしいと願ってしまうのは。
わかっている、ソレは、
心の奥底に封じ込めるように隠した、――名前。
「うそつき」と呼ばれてもいい。
2人の女の子、そのどちらにも、笑っていてほしくて。
だから偽り続ける。
(思いは、アイツに託して。)
ぽろり。
シェイドの瞳には、涙がうすらたまっていて、一筋、流れた。
「―――シェイドッ!?!?どっ・・・」
―――名前を呼ばれるたびに罪悪感は募る。
「悪い。・・・少し、こうさせてくれ」
ぽす。
ファインの胸元に、シェイドの頭があった。
「シェイ・・・ド」
ファインはどきりとしたが、シェイドの苦しそうな声を聞いて、そのまま受け入れた。
肩が、極々わずかに震えているのを見て、しずかに頭を撫でる。
「か・・・な、しい・・・・の?」
――――返事は、
「・・・・すまない」
小さい、小さい声だった。
時間にすれば数分だったのだが、ファインにとってはこれ以上にないというほど長く感じられていた。
シェイドが、頭を上げないままでグイ、と目元をぬぐってから、顔を上げた。
「シェイド」
静かに呼びかけると、
「すまない、本当に・・・」
少しだけ赤い目で、申し訳なさそうに言った。
「いいよ、・・・それより・・・」
そう言うファインの上目遣いの瞳には、悲しみが宿ているのを見て、シェイドが今度は手をとった。
「今度こそ、本当に大丈夫だ。・・・もう、
大丈夫」
「・・・・・」
だが、先ほどもそういった、といわんばかりの不安そうな瞳で見るファインを、
「あひゃぁー!?」
可愛らしい奇声を受けとめた。シェイドはファインを、
「早く戻らないと授業に遅れて減点になってしまいます、プリンセスファイン」
お姫様抱っこしていた。
「シェ、シェイド!?わ、わたし自分で歩けるよ!?」
ファインが言うのは流して、
「・・・軽いな、お前は」
どこかの誰かに言ったのと反対のことを言った。
「えぇ!?!?そんなことない、私食べてばっかりだから、いやあの、だから早くおろし・・・!!」
言いながらも、ファインはうれしそうだったのをもちろん見て取っていて、
「あわわ・・・」
顔を真っ赤にする小さな女の子が可愛らしくて、いとしくて、
グッと顔を近づけた。
「―――ありがとう。」
「・・・・!う、うん!」
そのまま、学園へ戻ろうとしたが、
「あ!あの!でも!・・・やっぱりはずかしいからおろして・・・」
本当にうれしいが、恥ずかしくてたまらなかったファインが素直に言った。
「・・・・・・」
シェイドは無表情になってファインを静かに下ろしたが、今度はファインが、
「こ、こうしよう!ね!」
しっかり手をにぎった。
「・・・あぁ。」
シェイドは、やさしくも強く、その手を握り返した。
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いままで涙など、物心ついたときから数えても、あるだろうか?
・・・いや、なかった。
先刻は何故今まで堪えることの出来たものが溢れてしまったんだろうか。
その想いが苦しくて、哀しすぎからであるのは間違いなかった。
だがそれもあっただろうが・・・、案外ファインの優しさと笑顔が、身にしみて心地よかったのかもしれないな・・・、と、静かに笑いながら思っていた。
そうであろうという確信と、そうであってほしいという願望が、心に渦を巻いていた。