小説モドキができました
ので、貼っておこうと思います。いや小説置き場きっともう誰も見ないしw
ふたごGyuの、捏造しまくりなエクファ、ブラレイ前提のブライト→ファインです。苦手な方はご注意を。
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ふしぎ星のふたご姫Gyu!の、エクファ、ブラレイ前提のブライト→ファイン小説
+キンダン+
9月にはいれば、昼は暖かでも、そろそろ夜の風は冷たい。
もう慣れた学園生活と、・・・夜の寮の部屋からの抜け出し。
僕はたびたび、夜こっそり部屋から抜け出しては、夜風に当たっていた。
それがまだ1回もばれずにいるのだ。自分でもよく悪知恵が働いていると思う。証拠は残さない。
そして、ここで1回も誰とも会っていないんだから、ばれようがない。
今日もまた、いつものように、2日前に出て行ったときに持って行った方がいいと思った上着を着て、部屋を出た。
場所は学園寮の2階の、ちょうど真ん中。
窓のかわりに柵だけで囲われた、おおきくあいているそこは、おしゃれなテーブルとイスが5,6組ずつ用意されているちょっとした休憩所の広場で、見晴らしもよいので休み時間は女の子でいっぱいになっている。
2階には寮の部屋は無く、共同施設が多くある階なので、夜になると人は通らない。
何の音もしないその場所で、いつもようにの想いを馳せる・・・。
・・・はずが。
コツ、コツ・・・
「・・・あ」
「・・・ファイン?」
「あれ?・・・ブライト?」
―キンダンー
暗がりから現れたのは、やはりファインだった。
・・・一瞬動揺したが、すぐに冷静に言う。
「どうしたんだい?こんな時間に。・・・バレたら減点されてしまうよ」
微笑みながら言う自分が、すごく白々しいな、と思った。
だけど・・・
会えたのは、うれしい。
彼女が、隣に並ぶ。
「う、うん・・・でも、今日はどうしても眠れなくって、部屋を出てみたら、人の気配がした、気がして・・・あ、って、ブライトこそ、減点に・・・」
「それは平気だよ。・・・こう見えても、そういうの隠すのは上手いんだ」
心のそこから笑う。
―コレでもう少し、もう少しだけ考えるのが上手ければ、・・・―
そんな感情を隠すように。
「そ、そうなんだ・・・意外、だネ」
「だろう?」
彼女は少し戸惑っているようだった。
・・・それもそうだ。こんな自分、他の誰にも見せたことが無い。
それに――、彼女が、本当に会いたいと思っているのは、僕なんかじゃなくって・・・
・・・
「夜風は冷えるよ」
言って、ぱさり、と僕の着てきた上着をファインの肩に預ける。
「・・・あ、ありが、と」
「・・・ふふ。でも、この冷たい風が、熱った顔や頭には心地良いんだけれどね」
その言葉に合わせたかのように冷たい風が頬を撫でていく。
「・・・うん」
そして、静寂が訪れる。
これも、すごく気持ちが落ち着く。
考えていた。
彼女と、あの子と、あいつのコトを。
僕の考えを、整理していた。
目を瞑れば、今までのことが一気にあふれ出す。・・・まるで、昨日のことのように鮮明だ・・・。
彼女に、アプローチするだけではどうにもならないと、感じたときのこと。
―――違うな。とっくに気づいていたのを、「認めた」時・・・。
「とても、綺麗な月だね」
僕は、目をあけて思ったことをそのまま言う。
「・・・あ、うん、そ、だね・・・」
彼女は困った風に少しだけ言う。
ゆっくりと彼女のほうに顔を向けた。
―――困っている彼女すら、愛しいと。
顔が、綻んでしまう僕は・・・、もう―――。
少しの間があって、彼女がこちらにそっと視線をやったが、僕と目が合うとびくっと驚いて、すぐに顔を背けて、言った。
「あっ、あの、じゃあ私そろそろもどる――・・・」
・・・予想通りのコトバだった。
「僕はね」
「・・・え?」
不思議そうな視線をこちらに感じたが、僕は目を合わせない。
「禁断」を言いたくなっていた。
こんなふうに2りきりで、いとしいと感じてしまった瞬間から、僕の「黒い部分」は表に出て行った。
「諦めた訳じゃないんだよ。彼女を。・・・僕に諦める事なんて、できるわけが無いんだから・・・」
「・・・なんの、こと?」
それには答えず、僕は1人、自嘲気味になりながら続ける。
「でもね・・・ダメなんだ。・・・少なくとも、今の僕じゃね。
だから考えた。僕に、できることを。
・・・それは、彼女が大好きな、あの子を見ること、だった――」
「・・・??」
「あの子は僕が・・・。・・・だから、ソレは僕が答えなければ、あの子は僕と同じになってしまう。・・・なんてね。自意識過剰で傲慢な考えだけど、・・・でも、ソレをあの子は喜んでくれたんだ。
・・・僕も、同情だけでは決して無い。あの子自身が・・・、
・・・でも、それでも。
それでも僕はやっぱりね。好きなんだよ・・・、彼女が。」
そのまま、芝居のような口調で、手を広げる動作をしてみせる。
「だからね、僕はこう思っているんだ。
彼女が好きで、だけどダメで。あの子も幸せになってほしいと思っているけれど、彼女があきらめられない。
――要は、“ずっと彼女が好きなままだけど、あの子も幸せになってほしい”んだ。
・・・わかるかい?」
「・・・わからないよ。・・・からかっているの?」
やっと話し終えた僕の、文字通り意味不明な質問に、当然彼女はムッとした。
「うん、知っているよ」
そして、それもやっぱり笑顔で返す僕が、最低だと思ってる。
・・・わかっている、コレは僕の中の一番汚い、黒い部分――・・・。
「あいつなら、こんなこと・・・言わないよな」
言うはずがない、そんなこと。
あいつは僕よりずっと大人だから。僕より、何もかも優れているのだから。
これは僕の最低な独り言。独り言なのに彼女の前で言うのは、最低すぎる。なんて幼稚なんだろう。
なんて、醜いのだろう。
だけど、僕はあの時、から、もともとあった黒い部分が強くなったんだ。
そしてコレはその、・・・名残。
「あいつって、なに?・・・・なにをいってるの?」
「・・・つまりね」
ここからは、絶対にいってはいけない部分。禁断の、言葉。
「僕は、」
「・・・きゃあっ」
ざわっ・・・・・・
かなり大きな葉擦れが聞こえるほど強い風が吹いた。
・・・止められた。完全に。
・・コレは神様の仕業に違いない。
この宇宙の神様か、この星の神様か、
・・・僕の心の神様が。
今の風で、彼女に掛けた僕の上着が飛んだ。
「あっ・・・・・・」
小さな彼女の体からはがれたソレは、彼女の背より少し高いところまで浮き上がったが、
「!」
ぱし、っと彼女は持ち前のジャンプ力で上着をつかんで、ぐっと抱え込んだ。
そしてそのままひざで着地して、ぎゅっと小さくなる。
・・・・あぁ。
細めた目の先が、幸せだと思う。
さわ、さわ・・・と、だんだん風が静かになっていく。
・・・その間、彼女はじっと上着をかかえて動かなかった。
僕はすばやく彼女に近づき、しゃがみこむ。
「大丈夫?ごめん、支えてあげられなかった」
・・・半分本当で、半分は嘘。
僕が声を掛けると、ぎゅっとしたからだが少し開いて、そしてゆっくり顔を上げた。
「ううん、いいの。大丈夫だよ・・・」
「・・・・・・」
彼女を苦しめてなんになるだろうか。
大好きな、彼女を。これほどまでに、いとしい・・・
あの先は絶対に言えないんだ。それだけは、再確認した。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
少し、ほんの少しの間だったけれど、僕たちは見つめ合えた。・・・なんて些細な、でも、幸せなことなんだろう・・・。
「あ、あの、ブライト?さっきのは・・・」
音も無く立って、する、と静かにすばやく僕の上着を彼女の手から、優しく奪う。
答えられるはずもない。
「これ。・・・本当は貸してあげたいんだけど、バレると減点だから・・・・」
「あ・・・」
また困った風な彼女に、今度は優しく笑む。
やっぱり、困らせちゃダメだよな。・・・これも、再確認。
「それじゃあ、本当に風邪をひかないようにね。ふとん、ちゃんとかけるんだよ。」
「え?あ、う、うん、って、そんなこといわれなくたってわかるよー!」
「うん、そうだね。じゃあ、またね。」
彼女が可愛く怒ったのをしかと目に留めてから、振り向かずに部屋へ戻っていく。
後ろからは見えなくなったところで、彼女が抱きとめてくれた、ぬくもりの残る僕の上着に顔をうずめて、大きく息を吐いた。
まるで、想いを吐き出すように。
・・・これで、いいんだ。
・・・いや、これからはこんなことはあってはいけないんだ。
だから。
あの世界へと堕ちてしまわないようにしなくちゃ―――――。
あの世界は、あの想いはきっと僕をダメにする。
だから、コレは僕の心の中だけで・・・。
―――――――――――――――
「おはようレイン、ファイン」
「あ、おはようございます、ブライト様ぁ!v」
「・・・あ、お、おはよう・・・」
「ん?どうかしたかい?具合が悪いのかな?」
「え?いや、ちがうよ!元気元気!」
「そう、よかった。じゃあレイン、またあとでね。」
「あ、はい、ブライト様!」
「・・・・・・」
「どうしたのファイン?やっぱり変よ?」
「あ、いや・・・うん、昨日は変な夢を見たなーって思っただけ」
「変な夢?どんな夢??」
「・・・ないしょ」
「??」